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電子材料と呼ばれる物質の結晶の中には膨大な数の電子が含まれ、この電子の動きによって機能が生み出されています。これらの電子は互いに影響を及ぼしていないようにふるまうこともありますが、互いにきわめて強いクーロン力(強相関効果)を及ぼしあうことがあります。遷移金属化合物や有機分子性結晶においては、この強相関効果が電子状態に重要な影響を及ぼし、電子状態と密接な関係のある光学的性質を決定づけています。その結果、従来の電子材料とは異なる興味深い光学応答を示すことがあります。我々は、分光学的手法を用いて強相関電子系に特徴的な電子状態を調べています。たとえば、金属になると予想される化合物が電子相関効果のために、絶縁体になることがあります。単純な予想とは異なる状態とはどのような状態なのか、またどのような理由でそのような状態になっているのかについて、反射分光、吸収分光、ラマン分光などの方法を用いて研究しています。さらに電子状態の理解に基づき、電子状態や光の状態の制御を行います。光や電場などの外場を与えることにより、非線形光学応答、非線形伝導現象、様々な相転移などが実現します。このように、強相関電子系における状態制御と機能性発現を目指して研究を行っています。
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